2005年09月20日

六段について その1

注)和箏をやっている人向けに表現したので、分かりづらい方すみません…
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前回書きましたように、和箏の代表曲「六段」が、琉球箏曲にもあります。
今回は個人的に衝撃を受けたw、琉球の「六段」について書かせていただきます。
また奏法の違いについても簡単に触れたいと思います。


六段について その11枚目の写真は、おなじみの山田流の楽譜です。
六段について その12枚目の写真は、琉球箏の楽譜です。
(琉球箏曲は縦譜です)正式な曲名は「六段菅攪」といいます。



【演奏時間】

楽譜の始めに演奏時間が書いてありますが、
山田流約6分に対し、琉球は約8分10秒。
同時に演奏すると、山田流の曲が終わるとき琉球筝は5段の最中です。
それだけ琉球箏はゆったりと演奏しているということです。
あまりにもゆったりして、どこ弾いてるのか分からなくなることがあります(^^;)



【奏法】

比較していただけば分かりますが、弾く弦はほとんど同じです。

出だしから「五---三シャン シャシャ八-七六七 一 五四三シャン」
同じですね。

しかし奏法で違いが見られます。

「シャン」部分にあたる琉球の楽譜の「カ」という記号は、「掻爪」の奏法を表します。
和箏と名前は一緒ですが、実際は少し違います。

和箏は、一など特定の弦を2と3の指で力強く弾きます。

琉球箏は、楽譜にはどの弦を弾くか示されていません。
「だいだい一あたり」を弾くという感じです。
演奏して2と3の指が自然にくる弦を掻くのです。
弾き方は和箏のように荒々しくなく、もっとソフトな感じです。
極端に言えば撫でるという感でしょうか。
だからはっきりした音が鳴らないので、特定の弦を弾かなくとも不都合はないようなのです。

私は始め「だいたいこの辺りを弾く」という感覚がどうにも理解できなくて困りました。
慣れるのに結構時間がかかりました。


「シャシャ」部分にあたる琉球の楽譜の「ワワ」という記号は、「割爪」の奏法を表します。
これも和箏と琉球で「掻爪」のような違いがあります。

和箏は、三など特定の弦を2の指で弾き、次に3の指で同じ弦を弾きます。
琉球の場合は、まず三のあたりを2の指で弾き、
次にそこから2弦ほど離れた五弦あたりを3の指で弾きます。
やはり弾き方は撫でるようにソフトです。


弦の番号の左に「中」と書いてあるのは、和箏でいう「押しいろ」にあたります。
(弦を弾いた後で左手で弦を押します)ですので奏法は同じです。


これ以外にも琉球箏と和箏との奏法の違いはありますが、
また今後ちらほらと書いていきたいと思います。



【リズム】

和箏は「コーロリン」と弾んで弾くところを、
琉球では「コロリン」と平坦に弾くパターンが多いです(特に5段)。

休符について、和箏では入るのに琉球では入らない、
逆に琉球では入るのに和箏では入らない、というところが何箇所かあります
(特に3段~4段)。

私は以前山田流の曲を弾いていたので、
琉球曲を弾いているのに山田流の調子でやってしまいリズムの違いに
ずっこけることがしばしばあります。


琉球では曲始めの休符のところで「イヤ」と掛け声を入れます。
私が以前習った山田流でも「イヤ」を入れていました。
意外な共通点があります。



琉球箏は基本的に暗譜です。

六段菅攪は琉球箏の試験の課題曲なので、いやでも覚えなければなりません。

どうしても山田流のほうにひっぱられてしまうので、
試験までは和箏の六段を聴くのはちょっと控えたほうがいいかなと思ってます…。 

 (その2に続く)


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