2005年10月31日

コンクール体験記 その5

弟子仲間の出番が終わったので、客席から会場を見学することにしました。


会場は小~中規模のコンサートを行うような広さ。観客はぽつぽつと点在しています。
客席の方は暗く、舞台だけがぼぉっと明るい。
舞台のすぐ下に審査員の先生方が10名ほど並んで威圧感を漂わせています。

しーーーーーんと静まり返って、物音ひとつ立てられないような雰囲気。
「静粛に」という注意書きがあり、観客はじっと観戦するしかないのです。撮影・録音も不可。

「審査を続けます。○○番」という進行係のアナウンスで、受験者入場。
会場には箏の音しかありません。物凄い緊張感のある空間です。


「ああ…、明日は私もあの舞台に立つのか…」うんざり。
でも実感が湧かない、という複雑な感じ。
「先生方の着物、琉球柄できれいだな~」なんて後姿を眺めていました。


ホテルに戻り稽古を始めるのですが、身が入らない。
忘れ物がないように着物など準備して、楽器も片付けてしまいました。

弟子仲間と夕飯を取って、「景気づけだ~」と泡盛もしっかり飲んで、
早々に床に就きました。


一夜明けて、本番当日。

泡盛のおかげかちゃんと眠ることができ、意外とすっきり目覚められました。

タクシーに箏と乗り込み、昨日より早く会場入り。
控え室にはまだ誰もいません。早すぎました。

楽器をカバーから出して調弦。練習を開始します。
そのうち、だんだんと受験者が到着しました。

今日も舞台上での練習がありましたが、時間の都合で、
舞台入り→座ってお辞儀→舞台から出る の確認しかできませんでした。
演奏の練習ができず不安。


私の出番は後半なので、控え室でだんだん時間を持て余してきました。
演奏の練習をして、今変なミスをしたら動揺すると思ったので、
あまり箏は弾きませんでした。
このときはまだそれほど緊張も起こらず、先生方とゆんたくして過ごしていました。


出番が近づき、着物に着替え始めます。あと○人というところで楽器を舞台袖へ運ぶ。
受験者の演奏が漏れて聞こえてきます。
その音を聞いていたら徐々に緊張が膨らんできました。

「これを聞き続けたら、緊張でおかしくなる。やばいぞ」

演奏が聞こえてないところへ逃げていようと、
先生に「出番直前になったら呼んでください」とお願いし、階段のところへ非難しました。

頭の中でシミュレーションを繰り返します。
不安に襲われそうになると、無理やり頭の中で演奏を開始させ、
何とか気を紛らしていました。


えらく長い間待ったような気がします。
何回目かのシミュレーションの途中で誰かに肩をたたかれ、現実に帰りました。

先生に連れて行かれるまま、舞台袖までやってきました。
「えっ?次ですか??」
先生は本当に直前まで、私を呼ばずにいてくれたのです。


「審査を続けます。受験番号○○番」
事態をちゃんと飲み込めないうちに舞台に進み出ました。緊張する間もありません。
いよいよ本番が始まりました。


その6に続く。


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